私には忘れられない景色がたくさんあります。少し前にクラスで話した北極圏の氷山にしても、オーロラにしても、一生の思い出に違いありません。しかし、今日は、アフリカのサハラ砂漠についてお話ししたいと思います。
何故かずっと心の片隅に「サハラ砂漠に行きたい」という気持ちがありました。そう思う時に頭の中に浮かぶのは、「サハラ砂漠の物語」という作家さん三毛が書いた本です。この本は三毛とホセというスペイン人の結婚と、サハラ砂漠での生活を題材とした作品です。その時の砂漠生活は不便なものの、三毛にとってホセの愛があれば十分でした。
その本の中で、ある名言に非常に心を惹かれました。“あなたを思うたびに、空から一粒の砂が舞い落ちます。そして、サハラ砂漠ができました”。どれほどの思いが積み重ねられて、サハラ砂漠ができたのか、今でもそれを想像するだに、胸が締め付けられるように切なくなります。
常に地球の向こう側のサハラ砂漠は、どんなところだろうと考えていました。見渡す限りの砂漠に自分の足で立ってみたかったのです。それで、2018年の旧正月の頃、モロッコのツアーに参加し、かねてからの念願であったサハラ砂漠に行くことができました。
夜のサハラ砂漠は、静寂でひんやりした風に包まれていました。冷たい澄み切った空気が体に染み渡ってきました。疲れた心身をほぐすことができました。
ここは光害がないので、夜空を眺めて見ると、雲一つもない空に数え切れない星が煌々としていました。今まで見たことがない星空はとても美しく、目が釘付けになりました。そしてなんと、私の限られた天文知識の中で、オリオン座を見つけられて、宝くじに当たったほど嬉しかったです。その時、宇宙は無限で自分が小さ鋳物だとしみじみと感じました。
翌日、この砂漠旅のメインである朝日を鑑賞するために、5時に起きました。外に出ると、夜明けの空に三日月がまだ残っていました。夜はそこまででもないけど、明け方の砂漠は冷え込みました。ホテルの前に参加者が揃った後、まだ薄暗いうちにラクダに乗り、人里離れた砂漠に向けて出発しました。
東の空はやさしいバラ色になりかけていました。30分ほどで鑑賞スポットに辿り着きました。もうすぐ日の出なので、さっさとラクダを降り、砂に足をもつれさせながら砂丘をコツコツ登り始めました。
高いところに立っていると、目の前で東の空がだんだん赤く染まり、地平線の向こうから少しずつ太陽が現れました。茶色の砂丘も太陽の光を受け、黄色、オレンジ、赤に変化していきました。この神聖な時間に、私は息を呑み、サンライズを楽しみました。しばらくすると、太陽の光がさんさんとふりそそぎました。周りをよく見ると、どこまでも果てしない赤い砂丘でした。こんな雄大な砂漠景色を眺めたり、ラクダと触れ合ったりできたのは、貴重な体験です。
せっかくサハラ砂漠に来たので、お土産として持参したビニール袋に砂を詰めました。手触りは砂時計の砂のようにサラサラで滑らかでした。
今、考えてみると、私はたとえ愛があっても、三毛のようにサハラ砂漠で暮らすのは無理です。でも、非日常の場所を体験したい方、気分転換したい方、そして大自然に包まれたい方におすすめです。